割れ報告が出ているのを知りました。
製品の年式が明らかではありませんが、
こちらの掲示板で2009年頃、以下の様な事例が報告されています。
55km/hでのダウンヒル中にフェイスプレートのボルト付近で破断。
複数のメカニックによる調査で原因候補として挙がったのは、
(URL1, URL2)
- オーバートルク
- 汗の塩分による腐食
- 欠陥品だった
ダウンヒル中に何か破裂するような音。
ハンドルバーがどんどん下がり始めたので止まって確かめると、
フェイスプレートに酷い割れが生じていた。
ボルトのトルクは適切に管理していた。
(URL)
トルク管理(5N・m)をしていたのにフェイスプレートの
ボルト付近に小さな罅が出来ていた。
(URL)
数百個を売ってきた中で一回だけ割れ事例を見た事が有る。
しかしフェイスプレートの内側に目立つ錆が有り、
湿気などによる腐食が原因として疑われた。
(URL)
3年間使用したというものが同じ問題で持ち込まれた。腐食が見られた。
(URL)
これらの事例を見る限り、腐食が関与したか、その疑いが有る例が多いようです。
室内トレーニングでステムに大量の汗が滴り落ちている方は要注意です。
こんな書き込みも有りました。
6061系アルミなら耐食性が高い。
(URL)
現行のWCS 4-Axisは2014アルミ合金です。
この2000系アルミ合金は銅を多く含むので、
適切に表面処理されていないと耐食性が確保できないようです。
ただ、WCS 4-Axis ステムは一般的なステムと違い、
フェイスプレートのボルト4本が、二つずつ組になっていて、
寄り目のように極度に近接しているという特徴も有ります。
(3Tも新製品のARX IIステムで同様の構造を採用しましたね……。)
2009年頃に登場した、あの独特な寄り目ボルトの設計意図について
Ritcheyに質問した人がいました。質問に対してRitcheyは、
were quick to respond with the following...と、単なる美観上の理由だと回答しています。
"It is a cosmetic change only so not much to discuss"
(URL)
確かに、割れ事例が報告された掲示板でも
Ritcheyのステムは美しさが魅力という意見が有りました。
ただ、どうなんでしょう。割れ報告が集中しているのが、
この寄り目ボルトのすぐ近くというのが引っ掛かります。
フェイスプレートのボルト穴付近が肉薄なのも相俟って、
耐食性のみならず、構造的弱さの問題も抱えているのかもしれません。
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さて、以前紹介したThomsonステムの割れ事例と合わせて考えると、
信頼できるアルミ合金製ステムの目安として
- 削り出しではなく鍛造
- 2000系ではなく6000系アルミ
- 負荷が掛かる箇所が肉厚
安物のチタン合金よりはクロモリの方が安心とされているようです。
ちなみに、今回参照した掲示板では、3T(*1)やPRO(*2)のステムなら
頑丈で信頼できる(*3)との声が上がっていました。
*1
3Tのアルミ合金ステムは2000系か7000系ですが、
こちらは割れ報告が見当たりません。
*2
PROのアルミ合金ステムには7000系、2000系、6000系の
製品が有りますが、割れ報告は見当たりません。
*3
特に名前が挙がるわけではありませんが、FSAも割れ報告が見当たりません。
一方、Dedaのステムは割れも含め、トラブルが多い事で有名なようです。
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それにしても、ただでさえ選択肢の乏しい水平ステムから
また一つ候補が消えてしまいました。