2013年2月23日土曜日

夜間ライドの安全策 - テールライト比較

自転車で夜間に車道を走行する時の安全策として、
ライトや反射材の装着が義務付けられていますが、
その効果は製品の種類や取り付け方によって大きく変わります。

後方の車に対して取り付けるグッズを何種類か、
レビューも兼ねて比較しながら紹介します。




記事が長いので初めに結論を纏めておきます。
  • テールライトはそこそこ明るければ良い
  • 上腕部にリフレクターを巻き付けると効果的


まずはテールライトを見ていきます。

CAT EYEのTL-LD170-R


普通の明るさのLEDを搭載した凡庸なライトです。(1344円)
レンズや基盤は5灯を前提に作られていますが、3灯のみ実装されています。
点灯モードと、単純な点滅モードが有ります。

SmartのRL-321R

こちらは0.5Wの強力LEDを2灯搭載した高輝度型。
日本ではツクイ企画が出していますが(2625円)、
恐らくはPortland Design Worksがデザインした
Danger Zoneがオリジナルでしょう。(38.00 USD)

激しくランダムな点滅モード、1灯点灯モード、2灯点灯モードが有ります。

両製品のレンズの設計思想は正反対です。
CAT EYE(左)はそこそこの光量で、広い角度に拡散させようとしています。
Smart(右)は光の束を一線に集中させ、遠くまで飛ばそうとしています。

点灯時間はCAT EYEの方が長いですが、
明るさは電圧降下に伴って極めて緩やかに暗くなっていきます。
その為、普段使っている中で輝度の低下に気付きにくく、
電池交換のタイミングを見過ごしがちです。

Smartは正反対に短期決戦型で、最大の光量を発揮する為に
電池をガバ食いします。こちらも電圧降下と共に光が弱まっていきますが、
降下ペースが急で、しかも電池電圧が一定水準を下回ると点灯が点滅に
自動で切り替わる(*)ので、電池交換のタイミングは摑み易いです。

2014年3月21日追記
* eneloopを入れて2灯点灯モードで使うと、
満充電から約6時間半で点滅に切り替わります。

スイッチの押し易さはCAT EYEが断然上です。
冬用グローブでもスイッチの場所が探りやすく、クリック感も明確です。
Smartはスイッチの面積が広い割に、反応する範囲が狭く、コツが要ります。

光量はSmart(右)の圧勝ですが、CAT EYE(左)も十分実用的な明るさです。
寧ろSmartは強烈過ぎて、取り付け角度によっては
ドライバーの目を直撃し、眩惑させてしまいます。

以前、このSmartと思われるライトを取り付けた
他の自転車を後ろから見た事が有りますが、
車のテールライトが作る光の洪水の中でも
全く埋没する事のない強烈な存在感を放っていました。

Smartは裏蓋の左右から大きな爪が出て、本体を抱き留める構造です。

蓋は手で簡単に開けられ、

電池も簡単に着脱できます。

CAT EYEはコインで抉じ開ける方式です。
日本の硬貨の場合、10円玉2枚を重ねると丁度嵌まります。
ただ、握力が強い人なら素手で開ける事も可能です。

電池はLEDに邪魔されて取り出しが非常に困難です。
マイナスドライバーなどを差し込めば梃子の原理で
簡単に取り出せますが、電池の被覆に傷が付きます。
爪を立てて取り出す事もできますが、かなり力が要ります。


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さて、この対照的な二製品ですが、意外にも道路上で
体感的な安全に資する程度にはあまり違いが有りません。


理屈の上では、ヒトの認知特性から、

  • 明るい物は大きく見え、
  • 大きい物は近くに見える

ので、自転車のテールライトの光が強くなるほど後続車のドライバーは、

  • 自転車を追走している時の車間距離を大きく取る
  • 自転車を追い越す時の側方間隔を大きく取る

筈ですが、CAT EYEからSmartに交換しても
それらが変わった印象は受けませんでした。

(相手にしているのが同一ドライバーかどうかは分からないので、
正確に言えば、ライト交換後も一部の車からの
煽り・幅寄せ行為が無くならなかったという事ですが。)

理由として考えられるのは、全くの憶測ですが、

Smartの光量と点滅パターンが強烈過ぎて
ドライバーの攻撃性を刺激してしまい、
上述の「見え方」効果を相殺してしまった、

辺りでしょうか。



1km以上後方からでも視認できる強力なライトが
役に立つ場面も有るには有ります。

  • 弱い光では充分目立たない場合
    (大都市の商業地区、夕暮れ時など)
  • 車と自転車の速度差が極端に開いている場合
    (地方のバイパス道路など)
  • ドライバーが自転車の存在を予期していない場合
    (深夜、悪天候時など)
  • ドライバーが運転に集中していない場合
    (携帯端末の画面、考え事など)

しかし、強過ぎる光のネガティブ面や消費電力の多さも考えれば、
テールライトの輝度はそこそこの水準を満たしていれば良いと言えそうです。


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リフレクター編に続きます。