2013年2月27日水曜日

dhb Toe Cover Overshoe (2012) の使用感

昨年暮れに、とりあえず寸法だけレビューしたdhbのトウカバーを、
本格的な冬に入って或る程度の期間使ったので、実際の使用感を追記します。





まず耐寒性能。


寒さで足先が痛く感じるかどうかは、実際の気温より、
気温、湿度、風速(走行速度)を組み合わせて算出する
体感温度の方が良い指標になると思うので、
以下は体感温度で表記します。

体感温度が0℃以上の時にトウカバーを装着していると、
不快という程ではありませんが、少し蒸れます。

体感温度-5℃くらいまでなら、私の場合、トウカバーの有無は
あまり影響せず、メッシュのSPDシューズ単体でも特に寒さは感じません。

体感温度が-5~-10℃くらいの範囲にある時、
トウカバーの有り難みを最も大きく実感できるようです。
寒さに悩まされる事無く、快適に走行できます。

体感温度が-10℃を下回ると、トウカバーを突き抜けて冷気が足先に達し、
だんだん痛くなってきます。平地では運動強度を上げた分だけ
自転車の速度も上がってしまうので、足先は冷たいままです。

しかし、トウカバーの有無でその痛みが
「やんわり」か「ジンジン」か程度の違いは出るようです。

トウカバーを装着しないと、走りに集中できなくなるほど足先が痛くなりますが、
装着しておけば、少なくとも意識の片隅に追いやれる程度には緩和します。


なお、トウカバーで覆われない足首は、走り始めは風が当たって冷たく感じますが、
足先と違って、身体が温まってくると寒さを感じなくなります。
最初だけ我慢できれば、シューズカバーは特段必要ないと感じました。

途中で気温が上がった時はトウカバーの方が小さくて嵩張らないので
しまう場所に困りません。



次に耐久性。

自転車から降りてトウカバーを付けたまま歩き回ったりしましたが、
生地や、生地の縁取りのゴムは擦り切れていません。

私はSPD-SLではなくSPDシューズなので、地面に当たるのは
クリートではなくトウカバーなのですが、素材はそれなりに丈夫なようです。


しかし、ミシンによる縫製が弱く、脱着の繰り返しで
何箇所も糸が解れ、縁取りゴムが取れてきてしまいました。


購入直後に発見した解れ箇所については、
一旦糸を全て除去し、手縫いで縫い直しました。

手縫いの方は、糸が表に出る区間が少ない事もあって、
全く解れていません。やはり手縫いは強いです。

手縫いでは表側の針目が1mm長なので、糸が生地に埋まり、摩耗しにくくなります。
ミシン縫いの場合は長々と糸が外に曝されるので、摩耗しやすくなります。

裏側。伸縮性の有る生地なので千鳥縫いで対応します。


千鳥縫いの縫い方です。黒の実線が生地の表側に出る区間、
黒の破線が生地の裏側に出る区間、黒の点が生地に針を通す箇所です。
今回は元々のミシン縫いの設定を参考に、aを1mm、bを5mm、cを3mmとしました。

トウカバー本体の生地と縁のゴムを合わせた厚みが5mmなので、
3mm縫い進めるのに必要な糸は33.18mmです。

靴を差し入れる手前側の口は周長260mm、
縁のゴムは重なり区間が50mm、
更に縫い終わりで集中的に補強縫いするので、
縫製による生地の圧縮分を考慮しても、
縫い糸は全体で2875mm必要になると判断しました。

私は少し短めに2800mmでカットしましたが、
縫い始めでbの寸法を設定値より小さくしてしまった事もあり、
糸は最終的に460mm余りました。



最後に、雑多な使用感。

トウカバーを装着すると靴底のゴムが地面に接触しなくなるので、
タイルの上を歩く時は滑りやすくなります。

また、トウカバーを装着した状態では金具の間に生地が挟まり、
ペダルへのクリップ・インがやや渋くなる、或いは不可能になる事が有ります。

dhbのトウカバーの場合、大きい方のサイズを選んだ方が
失敗が無いかも知れません。私の場合は
  • シューズがシマノの41
  • クリートの前後位置は調整範囲の中央
  • トウカバーはS-M
で、トウカバーの奥までしっかり靴を入れないと、
バインディング機構の後方でカバーの生地が噛み込まれ、
クリップ・インの音がくぐもったり、クリップ・イン自体ができなくなったりしました。

出発時にしっかり装着すれば通常は問題有りませんが、
例えば出先の激坂(28%勾配など)で自転車での制覇を断念して
押し歩きする場合、トウカバーが段々脱げてきてしまうので、
再び乗車する前に装着し直す必要が有りました。