2013年2月26日火曜日

インタビューでの不自然な日本語

インタビューに特徴的な日本語表現でもう一種類。

最近耳にする事が多いのが、定型表現の過剰使用で
矛盾を起こしたり、発話キャラクターの不一致を起こしてしまう現象です。

インタビューという緊張を強いられる場面で、一人が言い出した定型表現に
誰も彼もが文脈を考えずに乗っかってしまった為に、
中々愉快な状況が生まれています。




今回は具体的な発話例が一つも思い出せないので、
断片的になってしまいますが、とりあえず一つずつ紹介します。

「~と思います」

譲歩・抑制のニュアンスを帯びた慎重な表現ですが、
内心では単なる「~と思います」を意味しているだろう例です。

「~と思います」では我が強く出てしまう為、
何らかの暈かし表現を求めた結果なのでしょうが、
定型化が進み過ぎておかしな例になる事も。

「応援してくださったみなさんのお陰で
ここまで来る事ができたんだとは思います。」

(作例です。実際は、ここまで酷い文は珍しいでしょう。)


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もう一つ。

「~かなって」

何かの現象の理由として、これこれの事が言えるだろうという文意で使われます。
文意と言語表現は綺麗に一致しているのですが、如何せん可愛すぎます。

企業の広報担当者や、研究機関の専門家など、
硬い発話キャラクターの人が突然言い出すので
強く印象に残ります。

「そういった複合的な要因が長年に亘って蓄積されてきた事で、
今回の事故に繋がったのかなって。」

(これも作例ですが、これに近い印象の発話は聞いた事が有るような……。)


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どちらも近年急速に聞く機会が増えたような印象を受けますが、
あまり注目されてはいないようですね。
言わば無意識の、消極的な流行語です。