2年ほど前に街中で聞いた発話例です。
雨風ともに強い台風の日、傘を差して携帯電話で話しながら歩いていた人が、
強風に煽られて、手に持っていた傘が壊れてしまい、驚いて
「壊れた! 傘が! 風で!」
と言いました。
厳密には合間合間に通話相手から「何が?」、「何で?」などと
聞かれたでしょうから、単一の文とは言えないかも知れません。
ただ、一連の発話の先頭に述語が来た事は興味深いです。
ヒトの認知では「物」よりも「事」の方がインパクトが大きい
という証左かも知れませんし、
言語の構造も原初的なレベルでは述語が先頭に来る
という証左かも知れません。
述語が文の構造の枠組み、つまり要であるという観点からは、
「重要(だと思う)情報を真っ先に音声化する」という点が前回のインタビューの例と共通しています。